(本質安全防爆)ツェナーバリアを設ける理由とその仕組み
本記事の目的
今回の記事はツェナーバリアの仕組みについて纏めます。
なぜ,ツェナーバリアを設置するか
可燃性ガスの危険雰囲気に設置するセンサと監視装置間の回路が故障した場合、
大電流・高電圧が危険区画に発生することで、そのエネルギーが爆発に繋がることがあります。
どのように爆発を防ぐか、その対策の一つとして、センサと監視装置間にツェナーバリアを
設置することが挙げられます。
下図に4-20mAを出力する発信器, 監視装置及びツェナーバリア(例:MTL787SP)の回路図を示します。
発信器からの電流出力4-20mAを監視装置に入力し、監視装置にて1-5Vに変換する回路です。
ツェナーバリアはツェナーダイオード,抵抗,Fuse,Diodeにて構成されております。
ツェナーダイオードは逆バイアスに接続されていることが特徴です。
これらの構成でどのように防げるのかをケース毎に考察してみましたので
下記に纏めます。
危険区画で短絡した場合
ツェナーバリアから発信器のケーブルの絶縁が劣化し、短絡することを想定します。
通常は4-20mAの電流が流れる回路に対し、それ以上の大電流が流れ込むことになります。
MTL787SPの場合、Fuse定格は80mAとなりますので、それ以上の電流が流れる前に溶断し、
危険区画に大電流が流れることを防ぎます。
また、ツェナーバリアの+側出口に抵抗があることで、危険区画側に流れるのではなく、
A種接地(10Ω以下)されたGND側に大きな電流が流れることになります。
データ監視装置の故障でセンス電源のDC24Vにそれ以上の電圧がかかった場合
ツェナーダイオードには降伏電圧特性があり、ダイオードにかかる電圧が
降伏電圧に等しくなるように電流が流れるため、高い電圧が発信器にかかるのを防ぎます。
ツェナーバリアを設置する上での留意点
また、危険場所に接続するケーブル仕様(キャパシタンス及びインダクタンス)は
取り扱い説明書に記載された許容値以下にする必要があるのでケーブル選定する際に
注意する必要があります。
参考URL
Wikipedia:ツェナーダイオード
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%89
MTL700シリーズ・ツェナーバリア取扱説明書
http://www.cooperindustries.jp/manual/s_barrier/700s_torisetsu.pdf#search=%27MTL700%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%27
MTL787SP+ バリア仕様
http://www.cooperindustries.jp/technical/spec/mtl700/SS_787SP.pdf#search=%27MTL787SP%27
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません