【P=2πTNを導く】トルクと回転数から出力を求めるには

本記事の目的

本記事では回転体における出力P[kW], トルクT[Nm]の定義を述べると共に,トルクT[Nm]と回転数N[rps]から出力P[kW]を算出する公式(P=2πTN)の導出過程を示す。

結論のみ知りたい方は本記事の後半『トルクと回転数から出力を導くには』をご参照ください。

出力[kW, W]とは

下記図の通り質量m[kg]の物体が床に置かれているとする。これを床から高さh[m]のところまで吊ると,その時に物体が有する位置エネルギーはmgh[J]にて表すことができる。
※g:重力加速度[m/s2]

次に[W]と出力という単位について考えてみる。こちらは1秒間にどれだけのエネルギー(仕事量)が働いたかを示す単位であり,W= J/sの関係がある。

下図のように1秒間で質量m[kg]の物体を高さh[m]まで持ち上げた場合の出力はmgh[W]であり,

下図のように1秒間で質量m[kg]の物体を高さ1/2h[m]まで持ち上げた場合の出力はmgh/2[W]である。

実際の数で表すと1[W]は約0.102[kg],ざっくり100gの物体を1秒間で1m持ち上げた際の出力である。また,1[kW]は約102kg,ざっくり100kgの物体を1秒間で1m持ち上げた際の出力である。

なお,馬力という単位があるが,これも出力と同じ1秒間にどれだけエネルギーが働いたかを表す単位で"1馬力=約750W(0.75kW)※"の関係である。ちょうど,大人(75kg)が1秒間に1m持ち上がる程の出力と言える。

※国により1馬力の定義が異なるので要注意である。
日本→(1馬力):0.750kW
英国→英馬力(1 HP):0.74kW
仏国→仏馬力(1PS):0.7355kW
そして,面白いことに日本で施行されている計量法は仏馬力の定義が採用されている。

余談だが次から次へと仕事をこなす人を指す言葉として「馬力なある人」という表現が用いられるが,とても的を得た表現であると筆者は思う。あっという間に片付ける人には「馬力がある人」という表現が用いられるが,一方で同一の仕事量に対し,ノロノロと消化する人に対しては使われないからだ。馬力や出力という定義が時間を含んでいるのがよくイメージ出来る。

また,電気でも出力としてWが使われているが,そちらについては前述の記事で説明しているので,そちらをご覧いただければと思う。

⇒⇒図で理解する電力単位 [W(ワット),Ws(ワット秒),J/s(ジュール毎秒),J(ジュール),Wh(ワット時間)の違い]

回転体における出力とは

回転体における出力について本項では述べる。前述の通り,とある力で1秒間にどれだけの距離を動かしたのかを示す単位が出力である。よって,下図のように円が1秒間に1周したときの出力は"力F[N] x 円周2πr[m]"にて表せるためP=2πrFで示せる。

よって,1秒間にN回転した場合の出力はP= 2πrFNとなる。

トルクとは

次にトルクについて述べる。
トルクは高校物理で習うモーメントと同じ単位であり,回転体が円運動する接線方向のモーメントである。

下図ではT=r×Fとして表すことが出来る。

T:トルク[N・m]
F: 力 [N]
r: 半径 [m]

トルクと回転数から出力を導くには

前述の出力及びトルクを求める数式から,トルクと回転数より出力を算出する数式を求めてみる。

① P= 2πrFN ・・・ 出力を求める数式
② T=r×F   ・・・ トルクを求める数式

数式②を変形するとF= T/rが求められ、
これを①に代入すると

P= 2πTNが求まる。

以上でトルクT[Nm]と回転数N[rps]から出力P[kW]の算出式(P=2πTN)の導出過程を示せた。
この数式を見ると大きな出力を得るためには回転数を増やすかトルクを増やせば良いことが分かる。

参考文献

Weblio:馬力
www.weblio.jp/content/amp/%25E9%25A6%25AC%25E5%258A%259B

TMEICモータ知識
https://www.tmeic.co.jp/product/rotating_machinery/motor/high_efficiency/tm21_f2premium/motor.pdf

技術

Posted by Gin