爆発下限界の意味について(%LEL,%VOL)

2019年8月16日

本記事の目的

可燃性ガスの検知の評価に使用する単位「%LEL」「%VOL」の意味について本記事で整理する。

 

爆発し得るガス濃度について

ガス種類により爆発し得るガス濃度が異なる。

ガス濃度がある一定の閾値①以上となれば、爆発し得る状態になるのは直感的に分かるが、
更にガス濃度が上昇し続け、ある閾値②以上に到達すると爆発しない状態になる。
つまり、爆発に必要な空気の割合が少なすぎる状態となるのである。

①及び②の閾値は下記用語にて定義される。

①爆発下限界(LEL:Lower Explosion Limit)
空気と混合した可燃性ガスが着火によって爆発を起こす最低濃度

②爆発上限界(UEL:Upper Explosion Limit)
空気と混合した可燃性ガスが着火によって爆発を起こす最高濃度

また、上記①及び②の閾値の範囲は"爆発範囲(燃焼範囲)"という用語にて定義される。

%VOLと%LELの違いについて

爆発下限界を評価するにあたり、%VOL及び%LELの二つの単位が使用される。
%VOLとは、ガスが存在する空間の体積に対し、
どれだけのガス体積と空気が存在するのかを表したものである。

例えば
2Lの容器中に1Lの可燃性ガスと1Lの空気があれば → 50%VOL
2Lの容器中に0.5Lの可燃性ガスと1.5Lの空気があれば → 25%VOL
となる。

一方で%LELは、爆発下限界に到達するまでの度合いを百分率で表したものである。

例えば、メタン(CH4)は5%VOLにて爆発下限界に到達する。
よって、2% VOLの環境であれば、40%LELと表せ、5% VOLの環境であれば、100%LELと表せる。

ガス検知においては、%LELにて濃度を評価し、爆発が生じ得る環境(100%LEL)に到達するまでに
検知した%LELの数値に応じた対策を講じる必要がある。

以下にメタンの爆発下限界,爆発上限界,%LELを図で纏める。

ガス種類における爆発下限界・爆発上限界について

ガス種類における爆発下限界・爆発上限界を下表に纏める。

ガス名 分子式(化学式) LEL(vol%) UEL(vol%) ガス比重
(空気=1)
水素 H2 4 75.6 0.07
メタン CH4 5 15 0.55
プロパン C3H8 2.1 9.5 1.56
n-ブタン C4H10 1.8 8.4 2.01
エチレン C2H4 2.7 34 0.97
トルレン C8H5CH3 1.2 7 3.18
メタノール CH3OH 5.5 44 1.1
エタノール C2H5OH 3.5 19 1.59

参考文献

ガス検知器メーカー 理研計器の用語集
http://www.rikenkeiki.co.jp/support/glossary

校正ガス成分表
http://hooktail.sub.jp/thermo/onepress/

計測器のレンタル レックス ガスの単位
https://www.rex-rental.jp/knowledge/anz/anz_013.html

水素エネルギーのリスクマネジメント
http://www.safety-kyushu.meti.go.jp/kouzan/shiryou/H20seminar-inoue.pdf

水素について
http://www.iwatani.co.jp/jpn/h2/faq/faq.html

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Posted by Gin