爆発下限界の意味について(%LEL,%VOL)
本記事の目的
可燃性ガスの検知の評価に使用する単位「%LEL」「%VOL」の意味について本記事で整理する。
爆発し得るガス濃度について
ガス種類により爆発し得るガス濃度が異なる。
ガス濃度がある一定の閾値①以上となれば、爆発し得る状態になるのは直感的に分かるが、
更にガス濃度が上昇し続け、ある閾値②以上に到達すると爆発しない状態になる。
つまり、爆発に必要な空気の割合が少なすぎる状態となるのである。
①及び②の閾値は下記用語にて定義される。
①爆発下限界(LEL:Lower Explosion Limit)
空気と混合した可燃性ガスが着火によって爆発を起こす最低濃度
②爆発上限界(UEL:Upper Explosion Limit)
空気と混合した可燃性ガスが着火によって爆発を起こす最高濃度
また、上記①及び②の閾値の範囲は"爆発範囲(燃焼範囲)"という用語にて定義される。
%VOLと%LELの違いについて
爆発下限界を評価するにあたり、%VOL及び%LELの二つの単位が使用される。
%VOLとは、ガスが存在する空間の体積に対し、
どれだけのガス体積と空気が存在するのかを表したものである。
例えば
2Lの容器中に1Lの可燃性ガスと1Lの空気があれば → 50%VOL
2Lの容器中に0.5Lの可燃性ガスと1.5Lの空気があれば → 25%VOL
となる。
一方で%LELは、爆発下限界に到達するまでの度合いを百分率で表したものである。
例えば、メタン(CH4)は5%VOLにて爆発下限界に到達する。
よって、2% VOLの環境であれば、40%LELと表せ、5% VOLの環境であれば、100%LELと表せる。
ガス検知においては、%LELにて濃度を評価し、爆発が生じ得る環境(100%LEL)に到達するまでに
検知した%LELの数値に応じた対策を講じる必要がある。
以下にメタンの爆発下限界,爆発上限界,%LELを図で纏める。
ガス種類における爆発下限界・爆発上限界について
ガス種類における爆発下限界・爆発上限界を下表に纏める。
ガス名 | 分子式(化学式) | LEL(vol%) | UEL(vol%) | ガス比重 |
(空気=1) | ||||
水素 | H2 | 4 | 75.6 | 0.07 |
メタン | CH4 | 5 | 15 | 0.55 |
プロパン | C3H8 | 2.1 | 9.5 | 1.56 |
n-ブタン | C4H10 | 1.8 | 8.4 | 2.01 |
エチレン | C2H4 | 2.7 | 34 | 0.97 |
トルレン | C8H5CH3 | 1.2 | 7 | 3.18 |
メタノール | CH3OH | 5.5 | 44 | 1.1 |
エタノール | C2H5OH | 3.5 | 19 | 1.59 |
参考文献
ガス検知器メーカー 理研計器の用語集
http://www.rikenkeiki.co.jp/support/glossary
校正ガス成分表
http://hooktail.sub.jp/thermo/onepress/
計測器のレンタル レックス ガスの単位
https://www.rex-rental.jp/knowledge/anz/anz_013.html
水素エネルギーのリスクマネジメント
http://www.safety-kyushu.meti.go.jp/kouzan/shiryou/H20seminar-inoue.pdf
水素について
http://www.iwatani.co.jp/jpn/h2/faq/faq.html
可燃性ガスの特徴について
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして
建災防で今月末に 酸欠の特別教育をする予定の物です。
その資料を今作っているのですが、
「爆発下限界の意味について(%LEL,%VOL)」にある爆発範囲の図がわかりやすいので
引用させてください。
出典先は明示します。
承知しました。
どうぞご使用ください。