(1MPa,1kPa,1Pa)圧力の大きさについて
本記事を書くに至った動機
圧力を計測する機会があるが,その大きさについてイメージがつかず,計測して得られた値が妥当なものか判断つかないことがあった。
イメージがつくものとして例を挙げれば,温度30℃といえば夏の気温くらいであり,100℃は水が沸騰する度合いであると説明できる。
また、長さ1mは成人身長の6割から8割程度の長さであるし1kmは4~5分で走れる程度の距離だとわかる。
しかし、圧力は1Pa, 1kPa, 1MPaと計測値が得られても、どれくらい大きいものなのか、なかなか説明がつかない。
本記事では、そんな圧力の大きさに対するイメージを纏めたいと思う。
そもそも圧力とは何か(どんな定義か?)
圧力とは単位面積あたりに働く力である。
1Paとは、1m2に1Nがかかった値であり,以下の式により求められる。
1Pa=1N/m2
しかし、この式だけでは,未だイメージがつかない。
次項では身の回りの事象とそれにより生じる圧力の値の関係を示すことでイメージを掴んでいきたいと思う。
なお,別記事において1Paの大きさについて掲載しているので時間のある方はご参照ください。
圧力単位kgf/cm2(重量キログラム毎平方センチメートル)をPa(パスカル)に換算する
⇒⇒⇒https://lifeisfruits.com/2020/05/31/kgfcm2topa/
身の回りの事象により発生する圧力
日常生活を送る上で体験する様々な圧力について,参考文献(本記事最下部)となる各サイト情報を元に下記の通り纏めた。
単位はすべてSI単位であるPa,kPa,MPaで比較した。
海面における大気圧力 (1気圧)
1気圧= 760 mm Hg=101,325Pa = 101.325 kPa = 1013.25 hPa
人間はその体内に上記圧力の大気を取り入れているため,その圧力は感じないが,常にそれだけの圧がかかっているのである。
※ ヘクト h = 100倍
海に1m/10m潜った際に感じる圧力
海水密度ρ:ρ=1.02g/cm3=1020kg/m3
重力加速度g:9.8m/s2
深度h1:1m
深度h2:10m
P1=ρgh1=9996Pa=9.996kPa … 海に1m潜った時の圧力
P2=ρgh2=9996Pa=99.96kPa … 海に10m潜った時の圧力
海に潜る際に耳抜きや呼吸に気を付けなくてはならないのは,深度に応じた圧力が加わるからである。
※ 10m毎、約100kPa(約1気圧)増加する,
富士山(標高3776m)に登った時に感じる圧力
650hPa=65kPa※
※ つまり、地表で生活しているときより約35kPa受ける圧力が減少する。
ママチャリのタイヤチューブ空気圧
3kgf/cm2=29400Pa=294kPa
クロスバイクのタイヤチューブ空気圧
7bar=700kPa
一般男性がパンチで相手を殴った衝撃で与える圧力
一般男性のパンチ力:87kgf
衝撃を与える部位は、こぶしの第三間接から第四関節(面積30cm2)と仮定。
87[kgf] x 9.8[m/s2] ÷ (30 ÷ 100 ÷ 100)[m2] = 284200 [Pa] ≓ 284.2 [kPa]である。
体重60kgの人が垂直飛びした時に,着地した際に両足にかかる衝撃の圧力
垂直飛び高さ h:0.6m
衝突時間 t:1msec (仮定)
衝撃を受け止める足のひらの面積(片足)S:260mm x 100mm
mgh=1/2mv^2の関係から着地の瞬間における速さは
v=(2gh)^0.5にて表せる。
また、運動量の変化は力積に等しいことから着地時における力Fは下記関係式より求められる。
Ft=mv
F =mv/t
圧力 F/2S = 403846 [Pa] ≓ 403kPaである。
握力50kgfの人が握力測定した際に生み出す圧力
握力計を握る時に作用する面積(親指を除く4本指,指先から第一関節まで):20mm x 50mm
50 x 9.8 ÷ (0.05×0.02) = 490,000 [Pa] = 490 [kPa]
サバイバルゲームで使用するガスガンの圧力
約5気圧 ≓ 500kPa
まとめ
人間が動作する際に生じる圧力として,数百kPaというオーダーは普通に生じ得る。 筆者がクロスバイクのタイヤに空気を入れる時のターゲットとなる空気圧は600kPaである。(以下空気入れの写真)
また,殴る時の衝撃に生じる圧力が300kPaであることやガスガンの圧力が500kPaであることから,この辺りの圧力でも怪我に繋がる危険な圧力であることがわかる。
高圧ガス保安法においても
「常用の温度において圧力が 2MPa 以上とある液化ガスであって
川口液化ケミカル株式会社様HPより引用
現にその圧力が 0.2MPa以上であるものは高圧ガスである」
と定義されており,0.2MPa (200kPa)というのが取り扱いに注意せねばならない閾値の一つであると理解できます。
また,筆者がシュノーケリングした際に1m潜っただけでも耳に違和感が生じ,耳抜きする必要にかられたことから,人間の体の部位の中では10kPa程度の差圧も許容できないものであると考える。
「参考文献」
男の平均パンチ力について
http://blog.livedoor.jp/strength2ch/archives/25053408.html
人間が1m自由落下したときの衝撃は1.5t
http://www.02320.net/free-fall_velocity-and-impact/
クロスバイクのタイヤチューブ圧力は700kPa
https://road-bicycle.biz/?p=455
ママチャリのタイヤチューブ圧力は300kPa
https://kazamakase.exblog.jp/10303629/
静止している水の深さに対する圧力の計算式
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E5%9C%A7
海水の密度 1.02g/cm3
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B0%B4
大気圧力について
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E6%B0%97-90946
富士山の山頂の圧力は65kPa
http://www.kojitusanso.jp/ksguide/2013/08/post-340.html
気圧の定義
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E5%9C%A7
落下の衝撃をkgfに換算するには
https://okwave.jp/qa/q4716277.html
ガスガンの圧力について
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1049543205
高圧ガスの定義
http://www.klchem.co.jp/blog/2017/03/4098_02mpa.php
1気圧=760mmHg=101325Paの導出式と解説(トリチェリの実験)
http://hooktail.sub.jp/thermo/onepress/
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