【自炊】専門業者に裁断を頼むのが一番な理由
記事の目的
書籍電子化(以下,自炊)の工程の一つである"裁断"は,『裁断機購入による自己処理』『裁断機レンタルによる自己処理』『専門業者に依頼』のいずれかの方法で処理することが出来る。
本記事ではそれぞれの方法について,特徴を纏めたので紹介する。
また,筆者が「裁断は『専門業者に依頼』が最善な選択である」と判断した理由と共に,
そのサービスを実際に利用した感想を示す。
※この記事では自炊の工程中の"書籍裁断"に焦点を当てて述べております。
“スキャン"”書籍データ活用"については別記事にて紹介する予定である。
はじめに(自炊しようと思い至った経緯)
賃貸物件に家族と住んでいることから,自分が持っている書籍を思い通りに配置できず,
止む無く押し入れに段ボールで格納していることから,ニーズに沿った書籍をすぐに取り出せない不便さがあった。
不便さを解決するため,NAS(Network attached storage)に自炊したデータを
格納することで,電子書籍端末でアクセスすることを目論んだ。
自炊における裁断の工程は『専門業者に依頼 』が最善と判断した過程
自炊には,二つの工程がある。
一つ目は書籍をスキャナーで取り込むため,冊子を一枚一枚の紙に分割するための「裁断」,二つ目は裁断された紙を取り込むための「スキャン」である。
筆者は自分の書籍が200冊~300冊ぐらいあると見積もっているが,この量を自炊するにあたり,裁断を自己処理するか(裁断機購入もしくはレンタル),外注するかどちらの方法が良いか検証してみた。
<裁断を自己処理する場合(裁断機購入,レンタル共通)>
まず,ネックとなるのが裁断技術の習得である。
実際に自炊を実践された方々の体験談を見てみると
共通して挙げられる裁断に関する留意点は以下のものがあり,
これらを気を付ければ,満足のいく裁断が出来ると思われる。
1 閉じられた冊子に対し,どれぐらいの間をあけてカットすべきか。
2 糊付けされている箇所は確実に除去し,一枚一枚バラバラの状態にする。
これを怠るとスキャン時にジャムする要因となる。
3 裁断面を真っすぐにする。
4 個人が購入できる価格帯の裁断機の処理できる枚数が100枚程度のため,
普通の漫画本でも2回に分割して裁断する必要がある。
そのため,1回目と2回目で同じように裁断する必要が有る。
5 思うように裁断できない場合のメンテナンス実施。
上記留意点を裁断時の基本動作として自分の物にするには,
いくつもの書籍を裁断する経験を積むことでしか得られないため,
それまでに多くの時間と神経を使うことが目に見えている。
次に裁断に必要な時間の確保がネックとなる。
家族と一緒に住んでいると,平日はおろか休日でも集中できる時間が限られており,
そこで神経を使う裁断作業するのは,あまりにも時間がもったいないと思われる。
その時間を神経を使う他の作業に充てた方が良いと思われる。
次に裁断に必要な裁断機の入手が必要である。
購入する場合とレンタルする場合についてそれぞれ述べる。
<裁断機を購入する場合>
一回当たりの裁断で多くの枚数を捌ける上等な裁断機であれば,
4万円~5万円程度の高い費用がかかる。
(ヤフオクとかでは中古1万円程度で売っているケースもあるが,
中古品であるリスクを負う必要がある。)
また,重量が10 kg~20kgとかなりの重量物であることから,
扱う時や保管する際に配慮する必要がある。
使わないときは,押し入れの一角を占拠することが目に見えてしまう。
<裁断機をレンタルする場合>
レンタルは購入と費用は安く抑えられ,機器の置き場所も一時的に占めるが、
期間が終われば返却するため,設置スペースは不要となるメリットがある。
しかし,一方で限られた時間でしか作業出来ないデメリットがある。
<専門業者に依頼する場合>
裁断する対象の本を選び、ダンボールに納める時間さえあれば、
後は 代金さえ支払えればプロが綺麗に裁断してくれる。
裁断機を収納する場所や作業時間の確保に悩まされない。
ただ、裁断対象の本の量が増えれば増えるほど,代金がかかるというデメリットがある。
以上が各場合における特徴となるが,それぞれをメリット・デメリットで表に整理すると以下の通りとなる。
筆者が裁断工程を『専門業者に依頼』しようと踏みきった理由
1.予算が限られていた
自炊した書籍データを活用するまでに,"書籍裁断"の後に続く
“スキャン","書籍データ活用"の工程があり,
裁断以外の工程でも費用がかかることがはっきりしていた。
裁断機を購入するには,4万円~5万円程度の高い費用がかかることから,
専門業者に依頼することに決めた。
もちろん,裁断機をレンタルし,自己処理するという選択肢も考えたが,
以下に述べる理由から,費用を抑える上で裁断機をレンタルし自己処理する案は
今回の選択肢から消えた。
2.失敗するリスクを恐れた
前述の通り裁断を上手に行うには,様々な留意するべき点があり,
それを満たさないと失敗し,うまくスキャンが行えないリスクがある。
よって,専門業者に上手に裁断してもらうことで,そのリスクを回避することが出来ると考えた。
3.作業時間の確保が難しい
レンタル機器は,指定した日時までにその機器を返却する必要があることから
それまでに作業を完了する必要がある。
裁断は技量を必要とする作業のため,どの程度の時間で完了するのかが見積もりしにくい。
また,家族と一緒に住んでいるため,一日の時間の中でどこまで自炊作業に割り当てられるのかも不明であった。
(家族と住んでると,どうしても自分の時間をフルに使えないものです。)
(参考)筆者が利用した裁断専門業者について
利用したのはBookCut Japanの"段ボール無しバリューパック"というものを利用した。
段ボールが100サイズまで送料込みで7000円程度であった。
100サイズ段ボールは自分で準備し,文庫本や漫画単行本など合わせて90冊以上を収めることが出来た。
デメリットとしては,裁断する量が増えればその分だけ費用がかかることである。
300冊ほど裁断するのであれば,単純計算で23,400円かかることになる。
裁断機を新たに購入するには及ばないが,レンタル費用と比べるとかなりの割高である。
注文の流れとしては以下の通りである。
筆者が利用した時は,注文から納品(下記1~5)が1週間もかからなかった。
1. Web siteよりどのサービスを利用したいかを伝え,代金を支払う。
2. 業者に発送するための送り状が送付されてくる。
3. 事前に準備していた段ボールに送り状を貼り付ける。
4. 配達業者に集荷の依頼をし,家まで取りに来てもらう。
5. 数日後,裁断された製品が自宅まで届けられる。
以下は納品された状態の写真である。
本毎に輪ゴムで丁寧に仕分けられていた。また,カバーも奇麗に裁断されていた。スキャナーに取り込んだところ問題なく読み取れていることも確認できた。
自分で裁断した場合,多くの時間がかかることが予想されたが,裁断を専門業者に依頼することでスムーズな電子書籍化が実現できることを確認した。
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