図で理解する電力単位 [W(ワット),Ws(ワット秒),J/s(ジュール毎秒),J(ジュール),Wh(ワット時間)の違い]
目的
本記事では,電力の単位[W(ワット)], [Ws(ワット秒)], [J/s(ジュール毎秒)], [J(ジュール)], [Wh(ワット時間)]の意味について2~4項で簡単に触れる。また,5項では各単位の違いについて図を用いて示すことで,各単位の違いを説明する。
また,6項にて電気製品の出力と使用時間の関係を元に例題にて電力料金を算出する方法を示す。
なお,力学的な出力単位である[W],[kW]については,下記記事にて触れていますのでご参照ください。
⇒⇒⇒【P=2πTNを導く】トルクと回転数から出力を求めるには
W(ワット),J/s(ジュール毎秒)とは
W(ワット)とは,1秒あたりに変換・発生・使用・消費される電力(仕事率)の単位である。
直流回路では,
電力[W]=電流[A] x 電圧[V]
にて算出される。
例えば,下記直流回路の抵抗で消費される電力は,
5[V] x 1[A] = 5[W]
として算出される。
なお,"W(ワット)"をSI組み立て単位で表すと"J/s(ジュール毎秒)"となり,同義である。
家庭用電気製品や電気機器に記載されている出力もこれを指している。
(あくまでも1秒あたりの電力量であることに注意が必要である)
Ws(ワット秒),J(ジュール) とは
Ws(ワット秒)とは,"W(ワット)"に"s(秒)"を乗じた単位であり,エネルギーの単位"J(ジュール)"と同義である。
例えば,前述の直流回路を5秒駆動させたケースでは,
5[W] x 5 [sec] = 25 [Ws] = 25 [J]
として算出される。
なお, 1J(ジュール)は下記の通り定義される。
・1Nの力がその力の方向に物体を1m動かす時の仕事
Wh(ワット時間),kWh(キロワット時間)とは
Whとは,前述の"W(ワット)"に"h(時間)"を乗じた単位である。
例えば,前述の直流回路を1時間駆動させたケースでは,
5[W] x 1 [hour] = 5 [Wh]
前述の直流回路を3時間駆動させたケースでは,
5[W] x 3 [hour] = 15 [Wh]
として算出される。
なお,1kWhは1000Whであり,電力料金を計算する上での基本単位となる。
W(ワット)/Ws(ワット秒)/Wh(ワット時間)の関係
これまでの話を整理すると下図のように横軸は時間,縦軸は電力で纏めることが出来る。
5[W]の電気製品を5秒駆動した場合は,25[Ws]もしくは25[J]の電力消費したと表せる。
また,5[W]の電気製品を3600秒(1時間)駆動した場合は,18000[Ws], 18000[J] もしくは 5[Wh] の電力消費したと表せる。
電力料金の計算(例)
例えば,2段階の出力(1200W/600W)を有するドライヤーがあったとする。
毎日1200W出力で3分間(180秒),600W出力で2分間(120秒)使用した時,1か月(30日)にかかる電力を計算する。
なお,1[kWh]あたり20円の電気料金がかかるとする。
前項と同じように横軸を時間,縦軸を電力とすると,1日あたりの消費電力は下図の通り80[Wh]となる。
よって1か月あたりの消費電力は2400[Wh], 2.4[kWh]となり,
1か月の電気料金は48円となる。
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