同期電動機の等価回路とベクトル図の描き方
本記事の目的
同期電動機及び同期発電機の特性を学習する上で,等価回路の暗記とベクトル図の
作成方法を身に着けることがスムーズな学習に繋がる。
これらをマスターしておけば,特性を丸覚えする必要はなく,
自分で導き出せるようになる。
本記事では,同期電動機の等価回路とベクトル図の描き方を紹介する。
また,別記事にて同期発電機の等価回路とベクトル図の描き方を紹介する。
同期電動機の等価回路
同期電動機の等価回路は,電機子巻線一相に対する給電電圧 V[V],
その電圧を給電する端子,電機子巻線一相に流れる電機子電流 I[A],
同期インピーダンス Zs (ra+jxs) [Ω] (電機子巻線抵抗 ra,同期リアクタンス jxs),
電動機にて発生する逆起電力に打ち勝つ電圧Eoにて表せる。
また,一般的に同期機は,電機子巻線抵抗 ra に比べ,同期リアクタンスjxsが非常に大きいことから
電機子巻線抵抗 raを省略した形で,等価回路を描くことが出来る。
同期電動機のベクトル図の描き方
1項で描いた等価回路にを用いて以下の手順でベクトル線図を描く。
1. 基準となる点Oを記入する。
2. 給電電圧Vをベクトル図の基準(0°)として描く。
ベクトル図を描く上で,基準にどの成分を選ぶのかが重要になる。
回路図の端子にかかる電圧を基準として定めればよい。
つまり,電動機は受電側なのでその受電電圧を基準とすればよいし,
発電機は,給電する側なのでその給電電圧を基準とすればよい。
3. 電機子電流を描く。ここでは遅れ電流(力率角=θ)として描く。
1~3までの過程で以下のベクトル図が描ける。
4. 電機子電流による同期リアクタンスにかかる電圧を描く。
リアクタンスのため,電機子電流に対し90度進み位相となる。
5. 同期リアクタンスにかかる電圧ベクトルの始点と点Oを結ぶ。
このベクトルが電動機に生する誘導起電力に打ち勝つ電圧Eoベクトルとなる。
EoとVoの成す角度が負荷角δとなる。
以上で同期電動機のベクトル図が描ける。
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