水車形状とその特徴(ペルトン/フランシス/カプラン/斜流)

2019年8月3日

記事の目的

各水車(ペルトン/フランシス/カプラン/斜流)形状とその特徴を本記事でまとめる。

ペルトン/フランシス/カプラン 各水車の形状と動作のイメージを動画で掴む

ペルトン水車とフランシス水車とカプラン水車の形状と動作は,次のYoutube動画でよく纏められているので,紹介する。

Comparison of Pelton, Francis & Kaplan Turbine

ペルトン水車について

大工・機械技師であるアメリカ人レスター・アラン・ペルトンが発明した。

ペルトン水車は軸方向に対して垂直の向きに水流(Impulse,衝撃)を羽根に衝突させ,その衝撃力(速度水頭,運動エネルギー)を回転力として得る。(衝動水車に分類)
高い水頭と低い流量の箇所での使用に適する。
水車ランナー(羽根車)周辺は水で満たされていない。

高落差・小流量の箇所での発電に適している。

デフレクタを有し負荷変動にすばやく対応出来るので,発電機の速応励磁装置を省略できる利点がある。

デフレクタとは"偏向させるもの""逸らせるもの"の意味があり,次に示すペルトン水車の動作が紹介されている以下の動画の後半部(3:00~)にその動作(水流をバケットから逸らせる )が示されている。

Pelton turbine

また,負荷変動(部分負荷運転)における効率低下が少ないのが特徴。

※部分負荷運転とは定格能力よりも低い能力で運転すること。

カプラン水車について

オーストリアの大学教授ヴィクトル・カプランによって発明された。

軸方向に対して平行の向きに水流(Reaction)が羽根に当たって向きを変える際,水圧により押しのける力(圧力水頭,圧力エネルギー)を回転力として得る。(反動水車に分類)

カプラン水車は羽根の角度を適宜調整することで出力変動による効率低下を最低限に抑えている。
しかし,落差の高い地点に適用すると羽根角度調整機構が大型化し,それを内蔵する欄な先端部も大型化するデメリットがある。

低落差・大流量の箇所での発電に適している。

なお,プロペラ水車との違いは,プロペラ水車は水車羽根が固定だが,カプラン水車は流量に応じて角度を変化させることが出来,プロペラ水車よりも効率よく運転が可能。

フランシス水車について

今日では最も広く用いられている水車である。

イギリス生まれのアメリカ人技術者ジェームズ・B・フランシスにより開発された水車。

水車に送り込まれる最初の水流はランナに対して接線方向に水を流入させ,軸中心部に向かう中でランナに作用してランナを回転させる。

上記動画では,ペルトン水車とカプラン水車の両方の特徴を併せ持った水車であり,運動エネルギーと圧力エネルギーを回転力に変換していると紹介されているが,参考書では反動水車に分類されている。

高落差から低落差まで,大容量から小容量まで広い範囲に用いられている。

とある出力のときに最高の効率で運転できるように設計されている。
しかし,水車出力を変動させた時の効率低下が大きくなるのがデメリットである。

斜流水車

流水の反動力を利用して回転する反動水車の一種。
フランシス水車とカプラン水車の中間的な特性を有する。
斜流水車はもっぱら可動羽根のもの,デリア水車が使用される。

「参考文献」

各水車の種類について
水力ドットコム様_水車

マルバラ企画様_水力発電関連

ペルトン水車について
Wikipedia_ペルトン水車

斜流水車について
Wikipedia_斜流水車

プロペラ水車とカプラン水車の違い
水力ドットコム様_プロペラ水車,カプラン水車

技術, 電験3種

Posted by Gin