【慣性モーメント・はずみ車効果】回転体エネルギー1/2Jω2の導出方法,J=GD2/4となる理由
目的
本記事では電験3種にて出題される慣性モーメント(イナーシャ)の問題で使用する回転体エネルギーの数式である
$$KE=\frac{1}{2}Jω^{2}$$
の導出方法を示すと共に,イナーシャJとはずみ車効果(フライホイール効果)GD2の関係式である
$$J=\frac{GD^{2}}{4}$$
を導く過程を示す。
回転体エネルギーの数式を導出する
高校物理で習った通り,速度vで運動している質量mの点が保有している運動エネルギーは以下の数式にて表せる。
$$KE=\frac{1}{2}mv^{2}$$
次に質量mが半径rで等速円運動するケースを考える。また,円運動における速度vは半径r及び角速度ωの積となる。
等速円運動の運動エネルギーは
$$KE=\frac{1}{2}m\left( rω\right) ^{2}$$
にて表せる。慣性モーメントJは,回転する物体の質量m[kg]と回転半径r[m]の2乗の積となるので以下の数式となる。
$$J=mr^{2}$$
これを運動エネルギーの数式に当てはめると回転体エネルギーの数式が得られる。
$$KE=\frac{1}{2}Jω^{2}$$
以上の説明を纏めると下図の通りとなる。
J=GD2/4となる理由
GD2とは次に示す意味を有する。
力学でいう慣性モーメントと同じ概念であり、重力単位系(工学単位系)における慣性モーメントの表現形式。「GD2」は一つの記号であるが、Gは重量(G :Gravity(kgf))、Dは回転直径(D:Rotation Diameter(m))を表している。(参照先:Weblio)
慣性モーメントJは以下の数式にて表せる。
$$J=mr^{2}$$
半径r(Radius)は円の直径D(Diameter)の半分であるから以下の関係式が得られる。
$$J=m\left( \frac{D}{2}\right) ^{2}$$
$$J=m\frac{D^{2}}{4}$$
$$J=\frac{GD^{2}}{4}$$
以上の説明を纏めると下図の通りとなる。
参考文献
慣性モーメント(イナーシャ)Jの計算式・公式 一覧 (MIKI PULLEY)
GD2 (Weblio)
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